現在使われている漢和辞典は二百八十年前、中国清朝の康煕帝の命によって編纂された『康煕字典』がルーツ。その歴史を揺るがす「漢和辞典」が八月三十日に発売された。その名も『「漢ぺき君」方式でらくらく検索 漢字コードブック』(日本経済新聞社)。
初版刷りは四千部だが、「すぐに売り切れるでしょう」と、編集者で医師の高田任康さん(四七)は強気だ。研究を始めたのは、ワープロが普及し始めた十年前。患者名簿を打っている最中に読めない漢字にぶちあたったのがきっかけだった。
この「漢ぺき君」、漢字の意味こそ載っていないが、引き方が画期的だ。従来までのわずらわしい画数でなく、国語辞典のようにひらがなで引くので、パソコン、ワープロで漢字が出せない時、漢字をど忘れした時に便利だ。
例えば、弼(ひつ)という字はつくりの読み方の頭を一つずつ取り、「ゆ(弓)ひ(百)ゆ(弓)」で引く。旅(たび)のように、へんの方(かた)は読めるのに、つくりを見て「ん?」と思った場合は、そのまま「ん」を当てて、「かん」で。
十年間の研究費はざっと五千万円。その内訳は各社の漢和辞典三十冊、字体が異なるワープロ四十台、打ちこみ用のパソコン十台と、ハンパじゃない。「五千億から二兆円は儲けたい。2015年には、すべての漢和辞典の形態が『漢ぺき君』方式になる。今のうちにマスターすべきです」
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