トップこのサイトについて紹介記事一覧>週刊読売


医者が起こす漢和辞典大革命
週刊読売(97.08.10)

週刊読売 97,8,10 記事

 「2015年までに、全家庭へこの方式の漢和辞典を普及させたい」と鼻息が荒いのは、埼玉県の開業医、高田任康さん(48)。かつて本誌ニューズ・ウエーブにも登場したことがあるが、今や辞典界の常識を引っ繰り返そうと日夜、寝食も診療も忘れて(?)奔走中だ。

 高田さんの主張は、総画数で引く漢和辞典「数えるのが面倒」と切り捨て、新たな「漢ぺき君方式」を導入すること。

 例えば、「滉」という字なら、部首の読み方「さんずい」「ひ」「ひかり」の頭文字を取って、「さひひ」で引く。すると、ワープロでも簡単に漢字が引けるという。漢字の学会誌にも、「漢和辞典の引き方に革命を」と題する挑戦的な一文を掲載した。

 10年前にひらめいて以来、土日も削って、写真のパソコン入力用「漢字コードブック」作成に心血を注いできた。専用のアルバイトも雇い、40台以上もワープロを購入。さらに、新型パソコン6台、コンピューターに四、五百万円で字を作らせと、作業はエスカレートしていった。

 その総額がなんと6000万円!資金は経営する医院の利益をつぎ込んだ。「医者でなければできなかった」と高田さんは笑う。

 で、何でそこまでやるのか。「これは漢和辞典に革命を起こす千載一遇の価値がある。考え付いた人の義務だと思いました」

 かの魯迅は「医者は一人ずつしか治せない。文学はたくさんの人を治す」と語り母国の革命に貢献した。果たして高田さん、“埼玉版魯迅”になれるのだろうか。



Copyright (C)1997-2011 サンルイ皮ふ科 All Rights Reserved